この人がいなければ今のバンディッツはなかった。バンディッツの礎を築いてくれたのがリブさんです。

チームが産声をあげた2009年9月6日、いわゆる「大沼公園の奇跡」を知る残り少ないメンバーの1人です。発足当時は僕のチーム運営も手探り状態。僕より2歳上のリブさんに助けられる事が山ほどありました。

一番印象的だったのは「自分がこうしたいと思う方向性をちゃんと宣言した方がいい」という言葉。

草野球っていうと「みんなで楽しく野球をやろう」みたいなスローガンが多くて、ともするとそれは「楽しい→突き詰めない→負けてもいい」につながる事があります。僕はそういうのが嫌で「チームの勝利が最優先」というニッチなチームを作りたかったのです。

発足にあたり、インターネットの選手募集ではその事を訴えました。フタを開けてみるとそれに共感してくれる選手が沢山いて、そこで入団してくれたのがリブさんをはじめとした創設メンバーです。

とは言え、人が沢山集まれば「ゆるくやりたい人」も中にはいます。当時の僕はそういう人にも気を遣って、どっちつかずな方向に行きかけていました。自分が嫌だと思っていた方向に自ら進もうとしていたんです。そんな時に言われたのが、上記の言葉です。

僕の方向性に共感したからこそ入団してくれた多くの選手は、僕がその理念を強く打ち出す事を待っていました。あー、自分は皆との約束を破ってしまうところだったんだなーと気付かされたんです。

僕は今もリブさんの言葉を大切にしています。チームプロフィールに「チームの方向性」を掲げているのもそのためです。

ちなみに「勝つ事にこだわる」っていうと何だか選手の気持ちを大事にしないようだったり、ちょっと危険な考えという印象を受けるかもしれないけれど、それは全く逆。「勝つためにプラスになる事は何か」を考えていくと、最終的にチームはひとつになれる(ならざるを得ない)し、それこそが一番楽しい事なんです。

むしろ「楽しい事」を目標にする方がよほど危険。なぜなら「楽しい」って人それぞれ違うから。テキトーにやる事が楽しい人もいれば、勝つために突き詰める事が楽しい人もいて、個人差のある感覚を目標にしちゃうと、多分チームはひとつになれないんです。

話が逸れました。リブさんの話をしましょう。

リブさんは運営面での「相談役」的な役割だけでなく、もちろん選手としても大活躍してくれました。バンディッツが創設から7年にわたり全く捕手に困らなかったのはもちろんリブさんあっての事。

強肩、巧みなリード、微妙なコースをことごとくストライクとコールさせるキャッチング。打っても’13・’14シーズンは2年連続で打率.350以上をマークしました。チームの初代四番打者にもなった強打を持ちながら、しっかり四球を選ぶ。通算出塁率.411はチームへの献身性のあらわれです。その巨体ゆえ相手がノーマークになったところで盗塁もしました。全ての局面で手を抜かないのがリブさんの特徴です。

2016年7月、リブさんはこのシーズン限りでの引退を発表しました。その理由はチーム愛そのもの。ベストな体・ベストなプレーを維持出来なくなっていて、チームの将来を考えるとそんな自分がいつまでも扇の要で居続けるのは本意ではないとの事でした。僕も納得してそれを受け入れました。

そもそも草野球でチームを去る時って、仕方の無い外的要因(転勤や家族の事情など)か自分の意思で辞めるかのどちらかしかないわけです。で、自分の意思で辞める時って、多くの場合そこにはチームとのアツレキが生まれているものです。

今回のリブさんの引退は確かに自分の意思による退団だけれど、そこ(リブさんとチームとの間)にあるのはアツレキではなくて、チームのために身を引く覚悟でした。

そりゃあこっちも責任を持って代わりになる選手を見出さなきゃリブさんに怒られます。自分で言うのもナンですが、外的要因によらない退団でこんなにも両者が円満に終われるチームって中々ないと思います。

いま、リブさんがいなくなって気付いた事があります。リブさんはいつだって僕が提案する事に賛同してくれていました。

ここでメンバーの中から一言欲しい（それは代表の僕が言うのではダメ）と思った時、必ず声をあげてくれていたのがリブさんでした。

おとなしい選手が多くなった今のチームを見ていると、リブさんのガヤが恋しくなります。

チームが新たな一歩を踏み出したと感じる瞬間はこれまでいくつかあったけど、リブさんがいなくなったこのタイミングは、僕のチーム運営にとっての新たな一歩です。

まぁ、これからもちょくちょく相談させてもらいますけどね！リブさんはバンディッツゴルフ部主将として新たな一歩を踏み出して下さい。

2017.3.11